こんにちは!
おくりびとインターン 兼 次世代死生観研究所(仮)研究員の、ひなたと申します。普段は大学生をしています。
今回は、研究所2本目の記事となります!
今回の記事は、そもそも「死生観」ってなに?というテーマで綴っていこうと思います。
(前回の記事もぜひ読んでみてくださいね! )
死生観って、なに?
まず「死生観」を辞書で引いてみると、
生きることと死ぬことについて、判断や行為の指針となるべき考え方。生と死に対する見方。
とされています。
「死」という言葉のパワーについ引っ張られてしまいますが、死生観は「死」のみについての捉え方ではなく、表裏一体である「死」と「生」両方の捉え方のことなのです。
人生は、しばしば旅に例えられますよね。
旅には、地図や、食料や、丈夫な靴や、そしてもちろん、最終的な目的地・ゴールが必要です。
それと同じで、人生を生きていくためにも、指針、基準、信念といった、拠り所となる軸が必要だといえます。
「どう生きるか」「そのゴールとして、どう死ぬか」には無数で膨大な選択肢があります。
軸がまったくない状態では、どの道を選び、どう生きていけばいいのかがわからなくなってしまうでしょう。
私は、この軸こそが「死生観」なのではないかと考えています。
死生観の4つのタイプ
人は生きていくうえで、意識的に、あるいは無意識的に・自然に、大なり小なり必ずなんらかの死生観を持っているといえます。
日本大百科全書によると、死生観は4つのタイプに分けられるそうです。
①現実の肉体に宿っている生命が、無限に存続することを信じるタイプ
つまり、なんらかの効果によって、今の身体のまま永遠に生き続けられる!と信じているタイプのことです。
この死生観に基づいた行動としては、
- 若さを保つ、または若返るためにサプリメントを飲んだり、高価な化粧品を使用する
- 新しい薬や治療法などで、生き延びようとする
などが挙げられます。
②現実の肉体は消滅しても、魂は不滅であると信じているタイプ
つまり、現実の身体としては滅んでしまっても、魂は死ぬことなく、別な場所で生き続ける、または新たな肉体へと生まれ変わると信じているタイプのことです。
例えば、
- 仏教における極楽浄土や輪廻
- キリスト教における天国と地獄
などは、この死生観に基づいた概念です。
この死生観に伴い、死後魂がより良い場所へいけるように、またはよりよい肉体のもとで生まれ変われるように、現世で善い行いをしようといった考えが生まれます。
③肉体も魂も消滅してしまうが、代わりに不滅な対象へ献身することにより、“自己”を不滅にしようとするタイプ
不滅な対象というとわかりにくいですが、最も身近な例としては、父母、祖父母、曽祖父母……といったいわゆる「ご先祖さま」が挙げられます。
「自分は、太古の祖先から受け継がれてきた無限の生命の連鎖のなかの1人にすぎないのだ」と思うと、その連鎖が不滅である限り、自己もまた不滅であると思うことができるのです。
「ご先祖さま」の他にも、科学、芸術、人類の幸福と平和の理想、さらには、日常の仕事や事業なども、不滅な対象ということができるでしょう。自己を捧げる対象が不滅であれば、自己もまた不滅であると思うことができるのです。
④肉体も魂もそれの代用になるものも消滅してしまうが、現在の行動に自己を集中することによって、生死を超えた境地を体得するタイプ
これは、わかりやすく言えば「悟り」です。
悟りは、現実のしがらみを忘れ、生きることに新たな意味を見出す行為であるといえます。
悟りと聞くと、禅や修行などが思い浮かびますが、その他にも、アスリートや武道、芸道のプロなどは、日々精進し、技を極めることで悟りの境地に達しているのだといえるでしょう。
おわりに
「死生観」とはどのようなものなのか、少しずつイメージを持ててきたでしょうか?
③など、これが死生観?と思うようなものもあったでしょう。
しかしこのように、実は世の中のさまざまな考え方が、死生観に基づいています。
私達の何気ない行動が、元をたどれば死生観によるものだったり……なんてことも多々あるのです。
研究所として死生観を研究していくにあたり、今回は、そもそも死生観とは何なのかについて整理してみました。
次回以降の記事では、死生観をさまざまな観点から見つめていこうと思います!
次世代死生観研究所(仮)研究員 ひなた
参考文献
『日本国語大辞典』 第2版, 小学館.
『日本大百科全書』小学館.